海外インターネットビジネス動向
News Volume 37 98年11月4日
プロモーション
今回はウェブサイトを利用した「プロモーション」について考えてみましょう。
単に「プロモーション」といっても、目的に応じその手法もさまざまですが、今回は企業および製品のイメージアップを図るために、インターネットユーザーの「口コミ」を利用して、市場浸透率を高めようとしている企業サイトの事例をご紹介しましょう。
(1)今回紹介する「プロモーション」の方法
- コンテスト
- 電子グリーティングカード
- スクリーンセーバー
- サウンドファイル
- カタログ販売
(2)今回紹介する「プロモーション」の事例
Jack Daniel's:
http://www.jackdaniels.com/
(Jack Daniel'sは、アメリカのテネシーを拠点にしているウィスキー製造メーカーです。1866年より製造を開始し、老舗の味わいがあると根強い人気があります)
1. コンテスト
オンラインのマーケティング活動は、オフラインの既存マーケティング戦略との一貫性がなければ効果がありません。そのことを良く認識し、相乗効果を狙う方法を考えているのがこのサイトです。まずメインページに行くと、「Jack Daneil's World Championship Invitational Barbecue」という画像が目に飛び込んできます。
アメリカ人は、本当にバーベキューが大好きです。ソースや肉の種類などにかなりこだわった、パーティー好きのアメリカ人を対象にした「バーベキュー大会」。すでに10回目を迎え、各種メディアで取り上げられるばかりではなく、口コミでも知られる大会になっています。その大会の雰囲気をサイトの訪問者にも味わってもらうために、参加者の方々の写真を上手くレイアウトし、言葉だけでは表現しきれない楽しさを伝えています。
このように、自社のイメージアップを図るコンテストを企画し、さらにサイト上でもその模様を伝えることでオフライン、オンラインの宣伝活動をより効果的に広めることができるのです。最近では、イベント告知のできる検索エンジン等のコーナーやサイトが多くなり、新たなサイトプロモーションの一環としても効果が期待できます。
2. 電子グリーティングカード
このサイトには「Post Office」のコーナーがあります。知りあいの方に、創業当時の「Jack Daniel's」の事務所や貯蔵庫の写真を添付したカードを送るのも、なかなかユニークではないでしょうか。お酒好きの知りあいにこの種のカードを送り、話題作りができます。インターネットユーザーが、この「Post Office」で用意している写真が気に入れば、次回他の方へ送る電子カードのために、このページにブックマークを付ける可能性もあります。
もちろんこのサービスも、「口コミ」効果を期待することができます。一人ユーザーを獲得できれば、その方が多くの知人の方へグリーティングカードを送り、結果的にサイトや企業の宣伝をしてくださることになるのです。
3. スクリーンセーバー
さらにインターネットという媒体と強く結びついたプロモーションの方法として、「Jack Daniel's」では、オリジナルのスクリーンセーバーを配付しています。スクリーンセーバーは、制作コストが安くなおかつ宣伝効果も高いため、「口コミ」を念頭に置いた話題作りの方法として活用できます。オフィスで、同僚のコンピュータにしぶい「Jack Daniel's」のスクリーンセーバーが動いていれば、それだけで「なになに、それ?」と話しかけたくなるはずです。
4. サウンドファイル
まだまだ「Jack Daniel's」は手が込んでいます。スクリーンセーバーを使用している「Jack Daniel's」好きのユーザーが、同僚に話しかけられたときの話題作り第二弾として、「ウィスキーをグラスに注ぐときのサウンド」を用意しています。氷あり、氷なし、それぞれの音を用意し、会話がはずむように、トータルでプロモーションを考えています。
最近では、サーチエンジンの検索機能も高まり、「サウンド」「画像」のみを検索対象とすることもできるようになっています。サーチエンジンからの検索にうまく引っかかるための工夫も必要になってきているのです。
5. カタログ販売
最後に駄目押しとして、「Jack Daniel's」フリークの方向けに、オリジナル「マウスパッド」「Tシャツ」の販売をしています。「Jack Daniel's」のスクリーンセーバー、マウスパッドを使用し、Tシャツを着ている人が身近にいたら、それはほとんど「Jack Daniel's」の宣伝マンではないでしょか。ここまで考えると、「Jack Daniel's」のサイト作りのユニークさが伝わり楽しくなります。この「ユニークさ」「こだわり」がサイト制作のポイントです。
このサイトはシンプルな作りながら、検索エンジンの「Yahoo」や全国紙の「USA Today」のお薦めサイトになっています。ホームページに多くの投資をしなくとも、十分にアピールすることができる企業サイト制作の良い見本になるのではないでしょうか。
インターネットで「プロモーション」というと、サーチエンジンへの登録をすぐに思い浮かべるウェブマスターの方も多いと思います。しかし、今回ご紹介した企業の例のように、企業および製品の宣伝、サイトのプロモーション、等々さまざまな効果を一度に期待することができる手法が存在します。オンライン、オフラインそれぞれの相乗効果を考えたプロモーション。貴社でも一度検討してみてください。
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