海外インターネットビジネス動向
News Volume 46 99年4月7日
SOHO市場をねらう
数年前より米国で注目されている「SOHO(Small Office and Home Office)」。不況やリストラに負けない小回りの利くビジネス形態として、小規模のベンチャー企業や自宅をオフィスとする個人事業者が多く登場しているのです。日本でも昨年あたりから話題になり、インターネットの世界でも、SOHOを支援するホームページがお目見えするなど、その輪が徐々に広がっています。
米国で、この新しいビジネス形態に注目しているのは、自分のライフスタイルに合った就労形態を求めている個人や、産業振興をめざす政府・自治体ばかりではありません。販路の拡大をめざす企業も、魅力的な販売先としてSOHO市場にターゲットを定めています。
「ソフト関連業務やクリエーティブ業務が多く、インターネットの利用率が高い」、「営業・経理・制作などを少人数で兼任するため、常に多忙で買物などの時間がとりにくい」、「個人に比べ、必要経費で高額の商品購入がしやすい」といった特質を持つSOHOは、インターネットビジネスにとってもきわめて有望なマーケットといえます。
今回のニュースレターでは、SOHO市場を主な対象としてオフィス関連商品を販売する「オフィスマックス・ドット・コム」のサイトを事例に、周到なターゲティングに基づくサイトがどのようにユーザーを囲い込み、売上げを伸ばそうとしているのかを見ていきましょう。
●今回紹介する「SOHO市場攻略」の事例
OfficeMax.com:
http://www.officemax.com/
(事務用品・オフィス家具販売会社)
オフィスマックスは、米国で急成長中のオフィス用品小売チェーンです。中小事業所、特にSOHOを主要な得意先として、現在全米に店舗を展開しているほか、インターネットを使った通販にも非常に力を入れています。
1. ビジネスに役立つ特典の提供
航空会社の「マイレージ・プログラム」と、オンラインの商品販売を連動させたサービス「クリックリウォーズ」のプログラムに参加し、オフィスマックスで商品を購入すると、その金額に応じてマイレージが加算される特典制度を設けています。文房具などの消耗品を購入する場合、品質や価格に大きな差がなければ、何らかの付加価値がある商品、もしくはサービスを選択するのは当然でしょう。普段必要なオフィス用品を購入するたびに、営業活動等に必要となる旅費を節約できるのです。SOHO企業にとっては願ってもないサービスです。
さらに、2月2日から3月31日までは、マイレージをダブルで加算するキャンペーンを実施していました。期間限定のプロモーションを行うことで、まとめ買い・衝動買いの意欲を促進しています。
2. 翌日無料配達を実施
SOHO企業では限られた人数で仕事をこなさなければならず、時間がとても貴重なものとなっています。文房具をうっかり切らしても、そうそう気楽に買いには行けません。そのような時に、注文した商品が翌日に配達されるというサービスはうれしいものです。
オフィスマックスでは、アメリカ東部時間の午後4時までに注文すれば、翌日には顧客の手もとに商品が配達される態勢を敷いています。しかも、1回の注文合計が50ドル以上なら、配送料も無料となります。オフィス用品のカタログ販売では、電話注文の顧客を対象とした翌日無料配達が常識となりつつありますが、オフィスマックスは、このサービスをオンラインショッピングにも拡大して、「必要なモノがいますぐ欲しい」という顧客の期待に応えているのです。
3. 会員登録特典
前回のニュースレターでご紹介した登録制度を、オフィスマックスも上手に活用しています。オーダー時に必要な配送先住所や支払方法をデータベースに保存して、スピード注文を可能にするシステムや、過去の購入履歴をレポートの形式で提供してSOHO企業の経費管理を応援するサービスも用意しています。時間を効率的に使わなければならないSOHO企業のニーズに応えるこれらの機能は、インターネット販売ならではの付加価値を生み出しています。
4. 情報センターの開設
オフィスマックス・ドット・コムでは、オフィス用品の販売という本来の機能に加えて、SOHO事業者にとって役立つ情報サイトへのリンク集も提供しています。SOHO向け雑誌「スモールオフィス・コンピューティング(Small Office Computing)」が運営するオンラインサイトから、SOHO支援団体のサイトまで、さまざまなジャンルのサイト情報を集めています。自社サイトをSOHO関係者にとっての情報センターとすることで、「SOHOビジネスの成功を応援するパートナー」としての企業イメージを作りだしているのです。
以上見てきたように、オフィスマックスは、 SOHO企業のニーズにこだわったサイト作りで顧客の購買意欲を刺激しています。ここで注目されるのは、同社がすでにオフラインで実践し、成果を上げているサービスを、オンライン販売でもきちんと実現していることです。たとえば「翌日無料配達」は、もともとオフライン販売の促進策として導入されたものですが、これをウェブサイトにも反映させて、注文形態に関わりなく一貫したサービスを約束することは、幅広い顧客の囲い込みに役立ちます。
商品購入を考えるユーザーは、これまでのショッピングの経験をもとに、店や業者に対して一定の期待を持っています。インターネット販売サイトに対しても、この期待に照らして、意識的あるいは無意識的に、良否の採点をしているのです。現在、顧客に支持されているサービスがある企業は、それをインターネットでいかに実現できるかを、ぜひ考えてみましょう。
インターネットにかかわる専門家は、とかく、新しく生まれるさまざまなツールの機能や利便性を強調したがるため、新たにインターネットビジネスの導入を検討している企業は、ハードルが高いと感じがちです。しかし、成功するサイトの内容を見ていると、インターネットビジネスが決して特別なものではないことがわかるでしょう。顧客にとって重要なのは、サイトを動かしているツールの種類よりも、オンライン注文客にも変わらないサービスを提供しようとする企業の熱意なのです。
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