海外インターネットビジネス動向
News Volume 74 2000年9月27日
チャット運営を考える
インターネットユーザーがコンピュータを利用しながら情報収集を行うインターネットビジネスの環境では、いかにユーザーと親密な関係作りを行えるかが企業サイトにとっての課題となっています。その関係を築くためには、安心感・パーソナリゼーションなどのさまざまなキーワードを念頭に置いたサイト構築が必要となります。今回はその中でも、リアルタイムというキーワードをポイントに考えてみましょう。
インターネットビジネスに本格的に参入した企業の増加にともない、ユーザーの質問に迅速に回答をする態勢を整えている企業が増えています。ユーザーにとって、問い合わせたのになかなか回答がないのではストレスがたまるばかりですが、逆にスピーディーな対応であれば好印象となります。この種の時間的な要素を考慮したネットビジネスの展開を考えた場合、リアルタイムにユーザーとコミュニケーションを行うことができる機能を設けることは、ユーザーとのさらなる関係作りに役立ちます。
ユーザー側も、リアルタイムなレスポンスを期待するのであれば、インターネットに常に接続した環境作りを行いたいものです。最近では、インターネットに常時接続するサービスを利用するユーザーが国内でも徐々に増え始めています。このようなユーザー動向を背景に、今後リアルタイムなツールを利用する動きがさらに広まることになるでしょう。
今回は、専門家などとリアルタイムに直接意見交換をすることができるライブ・チャットの運営に力を入れている医療・健康情報提供サイト「WebMD」を事例に、その効果的な運営方法について解説をします。
今回取り上げる事例
WebMD:
http://www.webmd.com/
1. 話題構成とスケジューリング
WebMDのような専門家と意見交換ができるチャットの場合、話題の整理とスケジューリングが重要となります。同サイトでは、子育て・フィットネスなどの話題別のチャットスケジュールをイベントカレンダーという形で掲載しています。
同カレンダーでは、チャット日時が迫っているトピックはページの上部に目立つようにレイアウトし、それ以降に開催されるトピックは下段にサマリーとともにレイアウトしています。さらに、各チャットのタイトルとサマリーを対象とした検索機能、テーマ毎に分類したページへのリンク、そしてユーザーが希望する日時に近いチャットスケジュールの検索機能などを設け、さまざまな方法でユーザーが欲しい情報を確実に入手できるように工夫をしています。
このような仕組みを設けることで、これから行われるチャット情報を得るばかりではなく、今までに行われたチャットのバックナンバーへも容易に到達できることになるのです。
2. 事前情報の提供
各チャットの紹介ページの構成は、チャット内容の紹介・ゲストのプロフィールへのリンクが基本となっています。さらに、ゲスト別の個別コンテンツもあります。たとえば、著書があるゲストの場合、その著書の表紙画像を配置し、書籍販売のBarnes and Nobleの同書の紹介ページにリンクをしています。このリンクをクリックしてユーザーが書籍を購入した場合には、WebMDがコミッション収益を得ることができるようにもなっています。
その他にも、かなり専門性の高い話題を扱うチャットの紹介ページでは、どのような予備知識が必要であるかを解説し、WebMD内の関連記事へのリンクも行っています。さらに、ユーザーの電子メールアドレスと質問を記載することができるフォームを用意している場合もあり、事前に質問を受付けるコーディネーションを行なっています。このことで、質の高いコミュニケーションがゲストとユーザーの間で行われるのです。
このように、ゲストの要望やチャット内容の専門性の度合いに応じて、異なるレイアウトのチャット紹介ページを設け、チャットに参加するユーザーとの密な関係作りのために工夫をしているのです。
3. テクニカルサポート
チャットのようにまだまだ多くのインターネットユーザーにとって馴染みのないツールを利用する場合、テクニカルサポートのために十分な対応をしなければなりません。頻繁に問い合わせられる内容に関しては、サポートページに箇条書きで説明をしています。たとえば、インターネットにアクセスすることができるテレビ用のブラウザを使用している場合には、一般的なInternet ExploreやNetscape Navigatorを利用するようにという解説や、チャット開催中の質問の仕方についての解説などが行われています。
さらに、個別の質問にも対応するために、氏名・電子メールアドレス・トラブル内容を記載するフォームも用意しています。
せっかくユーザーに役立つさまざまなチャットを企画しても、上手くユーザーがアクセス出来ないのでは台無しです。このようなことを避けるためにも、しっかりとテクニカルサポートを行う態勢とページ構成を整える必要があります。
ネットビジネスを行う企業とサイトを訪れるユーザー間の心理的なそして時間的な距離を埋めることが、今後の企業サイトの一つの課題となるはずです。その一つの解決方法となるのが、今回紹介したライブ・チャットです。このようなユーザーと情報交換を密に行うことができるツールを駆使して、コミュニケーションの充実を図り、ひいてはサイトのアクセス数や売上げの増加に結び付けたいものです。
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