海外インターネットビジネス動向
News Volume 76 2000年11月15日
オーダー集中時期の対処法
昨年のホリデーシーズンに多くのクレームを経験した米国のネット企業では、今年その教訓を生かした取組みを行なっています。「希望した商品の在庫がない」「指定した日に商品が届かない」など、インターネットユーザーの注文が集中する時期ならではのクレームが発生しているのです。プレゼント用に購入されることの多い商品を扱うウェブサイトでは、この時期をどのように対処して乗り切るかが重要な課題となっているのです。
日本においても、これから始まるお歳暮商戦をはじめとして、お中元・クリスマスなどギフト関連の商品を扱うサイトでは、一時期にオーダーが集中することがあるでしょう。そのような時期の対処法を検討することは、自社サイトの信頼向上に大変重要なことになっているのです。
今回のニュースレターでは、ワイン販売を行う「wine.com」のサイトを事例に、注文が集中する時期にどのような視点でサイトのコンテンツ作りを行えばよいのかを解説してみましょう。
今回取り上げる事例
Wine.com:
http://www.wine.com/
1. 欠品の防止策
オンラインショッピングの経験を徐々に重ねるユーザーの中には、注文をしたにも関わらず在庫がなく、予想以上の日数を待たされたという経験を持つ人が少なからずいます。このような問題を防ぐには、在庫表示を行い、欠品している商品情報はウェブサイトに表示しない仕組み作りが理想です。
しかし、この在庫表示を行うためには多額の費用が必要となり、すべてのオンラインショップが対応できるシステムではありません。そこで、この解決策として、在庫に余裕を持たせたお薦め商品を目立つ形で紹介するアプローチが考えられます。
Wine.comのようにネット販売に特化した著名サイトでも在庫表示は行っていません。しかし、この時期に「トップ10ホリデーギフト」というコーナーを設けることで、ユーザーのオーダーを十分に在庫があるお薦め品へと誘導しています。この方法を取り入れることで、ユーザーから商品が届かないというクレームが減少し、すべての商品に必要以上の在庫を抱えなくてもよいという企業メリットも生まれるのです。
2. 配送締切日の明示
最終注文日を、送付先の州ごとに掲載しています。たとえば、感謝祭前の現在、カリフォルニア州に標準的な配送方法でワインを送るのであれば、11月16日までにオーダーをしなければならないことが分かります。この配送日程に関しては、ワインだけ・ワイン以外の商品・ワイン付きのギフトバスケット・ワインなしのギフトバスケット別に、細かく州毎の配送締切日が書かれています。
注文が集中する時期には、利用するインターネットユーザーにも理解を求め、オーダーを早めてもらう協力をお願いすることも、クレームを起こさない一つのアプローチとなるのです。
Wine.comでは、さらに配送に注意を払っています。ショッピングカートに商品を入れた際の最初のページは、簡単な配送先情報を確認する画面となっています。米国であれば州を選択し、海外であれば国名を選択することになります。このような仕組みをショッピングの早い段階で組み入れることで、ユーザーが最終的に落胆する度合いを軽減しているのです。もし、時間をかけて商品を選び、申込み段階の最後の最後になってこの商品はこの地域には配送できませんというのではかなりの失望となり、クレームにまでなりかねないのです。(州によっては酒類の販売を禁止しているなどの理由があります)
3. 配送費用の明示
ショッピングカートに商品を入れたユーザーの過半数が最終的なオーダーに至らなかったという統計があります。この主な理由として、「思った以上に配送費用が高かった」ことが挙げられます。オーダーが集中する時期には、買い手も売り手も余裕がないことが多いのではないでしょうか。そのような時にはなおさら、ショッピングの最終段階以前に、配送費用について分かりやすく情報提供することが両者にとってメリットとなるのです。
Wine.comの配送情報のコーナーには、米国の州名と送付可能な国名が一覧となっています。各州名をクリックすると、ワインもしくはワイン以外の商品の配送に必要な日数とあわせて、配送費用の情報が細かく示されています。商品区分と購入合計額に従い、いくらの配送費用が必要となるのかが分かりやすく理解できるのです。
ユーザーがせっかく心を込めて送ろうとするギフト商品の在庫がない。予定通りの日にプレゼントが届かない。このようなことが起こるとユーザーの落胆は大きく、オンラインショップに対する信頼感もなくなってしまいます。家にいながら、便利に商品を選ぶことができる環境が徐々に整い始めているネットビジネスの活性化のために、商品の発送システムや物流などのインフラ部分も考慮したネットビジネスの運営が必要となっているのです。
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