海外インターネットビジネス動向
News Volume 77 2000年11月30日
eラーニングを考える
インターネットを介した教育の場をネットビジネスに取り入れようという動きが米国で盛んになっています。eラーニング(e-learning)と呼ばれるこの新たな分野を活用することで、既存のセミナー等の開催に比べ、時間やコストの節約になるのです。米Brandon-Hall.com社によると、時間的には平均で50%の減少となり、コスト的には40%から60%の減少になるという調査結果も出ています。
インターネットの登場以来、学生ばかりではなくビジネスマンにとっても学ばなければならない事柄が増えています。不景気と言われる時代には、自己のレベルアップを図ることで自己防衛をしなければならないということもあるでしょう。インターネット自体がまだまだ発展途上なので、各種のセミナーに参加しなければならない機会も増えていることでしょう。しかし、このような必要性を分かっていても、自由になる時間がなかなか取れないというのが現状ではないでしょうか。そのため、多くのビジネスマンのこの種の悩みに応えられる、ネットを介した教育の場の提供が有望なビジネスとなっているのです。
国内でも、資格取得スクールなどを中心に、eラーニングを取り入れる教育関連の企業が登場しています。しかし、時間的にもコスト的にもメリットがあるeラーニングを教育会社ばかりが行うのではなく、他分野のネットビジネスが取り入れることで、さらにメリットが広がるのではないでしょうか。
たとえば、新たなハードウェアやソフトウェアの導入を行う企業では、その使用方法についてのセミナーを受けなければならない場合が多いでしょう。しかし、そのセミナーの開催日が、いつもユーザーにとって都合のよい日程とは限りません。また、セミナー会場まで何時間もかかって訪れなければならないという不便さもあるでしょう。これらの問題を解決する手段としてeラーニングを活用するのです。
これからは、顧客本位のビジネス展開が現在以上に要求される時代になるはずです。ユーザーがマウスをクリックしながら訪れるサイトを選択するネットの世界の普及にともない、ユーザー主導型のビジネスが生まれ、そのことに対応ができない企業は淘汰されてしまうのです。そのため、先の例にあるような顧客が不便と感じる既存のセミナー形式は、今後さまざまな分野で変化していくはずです。
今回のニュースレターでは、ネットワーク機器の販売を行うシスコ(Cisco)社が行うeラーニングのユーザーメリットについて、同社のデモを解説しながら考えてみましょう。
今回取り上げる事例
Cisco:
http://www.cisco.com/
1. さまざまな参加形式
オンライン・トレーニングに参加する場合、時間の都合がつくのであれば、ライブ・トレーニングに参加したいものです。動画・音声・文字情報から、ほぼ実際のセミナーに参加しているのと変わらない受講が可能となっているeラーニングだからこそ、講師とインタラクティブにコミュニケーションをとることができるライブ・トレーニングにユーザーメリットがあるのです。
しかし、スケジュールがあわなければ、データベースに保存されているセミナーを、後日ユーザーが都合のよい時間帯に再生することができます。また、画像などの大容量のデータ転送を迅速に行うことができない環境でインターネットを利用しているユーザー向けには、CD-ROMによる受講も可能となっています。このように、さまざまな参加形式を選択することができるのがeラーニングの特徴なのです。
2. 申込みプロセスの自動化
ライブ・トレーニングに参加することができるタイムテーブルが、サイト上に公開されています。すでに参加を締め切っている時間帯やまだ空きのある時間帯の全体を、インターネット上で確認できるのは、ユーザーにとって便利な機能です。実際に自分が申込みを行った時間帯はリアルタイムに色分けもされるため、申込みが完了したことをその場で確認することもできます。
さらに、参加することになったセミナーの開催日直前に、電子メールで参加確認があれば、ユーザーにとってはより便利な機能となるはずです。
3. 確認テストの実施
受講内容を確実に理解したかを確認するテストも実施されています。ウェブサイトを活用すると、各自のテスト結果をデータベースに容易に蓄積することができるため、自己のレベルアップの推移について後日確認をすることもできるでしょう。自分の弱点や強みなどは、過去のデータを客観的に分析できてはじめて見えてくるものです。
今回は、eラーニングという新たな分野を切り口にユーザーメリットについて考えてみました。ネットビジネスを成功させるためには、ユーザーメリットが何なのかを常に考える姿勢が必要となります。加えて、ネットビジネス戦略を検討する場合には、企業メリットに結び付けることもあわせて検討したいものです。今回のケースでは、限られたセミナー運営スタッフであっても、各種のセミナーのデータベース化で、より多くの受講生に対応することができるなど、企業にとってのメリットもさまざま考えられます。刻々と生まれる新たなネットビジネスの動向をチェックしながら、柔軟に自社のネットビジネスに応用したいものです。
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