海外インターネットビジネス動向
News Volume 78 2000年12月14日
パートナーシップの導入
広告収入のみに頼るネットビジネスには限界があると言われています。最近では米国の著名サイトが倒産に追い込まれるケースも増え、一つの収益源に頼るのではなく、さまざまな収益源を組み合わせ、長期的に利益を維持していくことがネットビジネスにおいても要求されます。
今まで広告収入に頼る多くのウェブサイトでは、単にバナー広告を掲載することで収益を上げようとしていました。このような単純な方法では、他のウェブサイトとの差別化が出来ないため、広告主にとってのメリットが少なく、安定的に広告主を確保していくことがむずかしくなっているのです。
今回は、依頼企業の宣伝活動を行うバナー広告の掲載から一歩踏み込み、パートナーシップを導入することについて考えてみましょう。このパートナーシップでは、単にパートナー企業のバナー広告を、自社サイトに掲載するのではなく、依頼企業の宣伝効果を上げるには、どのようなスタイルを取り入れることが最適であるかを考慮したビジネス展開が必要となるのです。
このパートナーシップを導入するためには、事前に自社が関わる市場においての知名度について客観的に分析をしておくことも必要となります。パートナーになることを検討する企業にとって、そのウェブサイトがどの程度知名度があるのか、さらにブランドとして認知されているのかを確認することは重要なチェック項目になります。もし、ブランドとして認知度が高いサイトであれば、訪れるユーザーの安心感に直結するため、パートナー企業にとってはco-branding効果を生み出すことも可能となり、単にアクセス数が多いこととは異なるメリットも加わることになるのです。
それでは、ある分野において知名度が高いサイトが、どのような形でパートナーを募集すればよいのか、米国の女性サイトとして著名な「iVillage」の取り組みについて解説してみましょう。
今回取り上げる事例
iVillage:
http://www.ivillage.com/
1. パートナーの公募ページ
女性向けの著名サイトとして認知されているiVillageには、毎月数百もの何らかの提案があります。そのため、どのような形のパートナーシップを希望しているのかをカテゴリー分けし、申込みプロセスを効率化しています。
a. ディストリビューション・パートナー:iVillageを多くのユーザーに知ってもらうために、申込みのあったサイトに同社のコンテンツを提供する形態。
b. コンテンツ・パートナー:iVillage自身が発信する情報を豊富にするために、依頼企業より提供されるコンテンツを同サイトに組み入れる形態。
c. テクノロジー・パートナー:同サイトの充実を図るための技術提供を受ける形態。
d. 電子商取引:商品・サービスの売買を同サイトで行うためのパートナーシップ。
以上のような分類のほかにも、申込み企業のタイプを製造業・ベンダー・ISP・その他などから選択する項目や、企業規模や月間のページビューについて質問をする項目を設けています。さらに、自由に書き込むことができる欄を設け、同社もしくは同サイトを訪れるユーザーが、どのような得をすることになるかを明記するように依頼する記述があります。
この種のページを設けることで、同社が必要としているパートナー企業の形態を明確にし、申込み企業側がはっきりとiVillageとの関わり方を再検討するためのワンクッションとしているのです。
2. コンテンツ・パートナーの形態
それでは、具体的にどのような形でパートナー企業と連携しているのかを、同サイトで確認することができるコンテンツ・パートナーについてみていきましょう。
まず、一つのコーナーのすべてのコンテンツを提供するケースです。iVillageのMoneyLife内にあるInvestingのコーナーは、チャールズシュワブ社により提供され、株の基礎から投資戦略に関する情報まで豊富に揃っています。
このような形態をとることで、パートナー企業を募集するサイトでは、自社ではなかなか充実させることができない専門情報を集めることが可能となり、パートナー企業にとっては、自社の強みをiVillageを訪れる女性ユーザーに十分にアピールすることができるため、自社サービスを利用する顧客増へと結び付けやすくなります。
このような関わり方をするには、パートナーとなるための予算も十分に用意しなければなりませんが、iVillageでは注目度の高い左インデックス内に組み入れる方法や、同サイトの右側に位置するパートナー企業一覧のリストに加える方法など、他の方法によるパートナーの形態を各種用意することで、予算と効果のバランスを検討する依頼企業本位の形を取り入れています。
今回紹介したiVillageでは、バナー広告の募集を行うばかりではなく、さまざまな形態のパートナー企業を募集することで、多彩な収益源を設けています。このように、情報提供を行うコンテンツ・ビジネスに特化しているネット企業では、広告収益を得るしかないと思いがちですが、単にバナー広告の掲載という単純な方法だけではなく、パートナー企業との関わりを強める方法を模索し、新たな収益源へと結び付けることは、重要なネットビジネスの戦略となるのです。
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