海外インターネットビジネス動向
News Volume 94 2003年4月24日
ブロードバンドを意識した商品演出
オンラインショップの売上増をめざす企業は、常にさまざまな切り口から、「次の一手は何だろうか」と考えていることでしょう。
最近話題となっているのは、検索エンジン最適化(SEO)やHTMLメールマガジン。新客を集めるための十分な広告予算がない企業の間では、自社サイトが検索エンジンで少しでも上位にランクされるよう最適化を行ない、集客数アップをめざすSEOへの関心が強まっています。また、新客誘導と既存客の再訪を促すためにメールマガジンを活用する手法が業界で定着しつつあるため、今までと同じようなテキスト版のメールマガジンの配信を行なうだけでは効果が薄いとみて、HTMLメールマガジンに新たな可能性を見出そうとする企業も増えています。
このような取り組みの、一歩先に見えてきた課題とは何でしょうか。筆者は、ブロードバンドを意識した商品演出が、一つのポイントになりそうだと考えています。
今までは、ページを訪れたユーザーを逃がさないため、大容量のデータをダウンロードすることに時間がかかってしまうナローバンドユーザーに配慮し、できるだけ画像を少なくした軽いサイト作りを行なうということが、多くの専門家によってアドバイスされてきました。
このため、購買意欲を刺激する商品演出に遠慮があったのではないでしょうか。「商品画像の点数をもっと増やしたい」「商品画像のサイズを大きくしたい」「商品画像の解像度を上げて見栄えを良くしたい」「Flashをもっと使いたい」「ストリーミングも取り入れたい」「BGMを流したい」。このように、オンラインショップ側の立場で、やりたいことがいろいろとあったはずです。
これらのことを、本格的に行なっても良い時期が訪れてきました。
国内外で、着実にブロードバンド利用者数が増えています。2003年1月に発表されたネットレイティングス社の日米利用者数比較では、日本の利用者数が1132万人(年間増加率215%)、米国の利用者数が3360万人(年間増加率59%)となっています。以下の調査結果のトレンドを見ると、ここ数ヶ月で国内のブロードバンドユーザー数が、ナローバンドユーザー数を逆転するまでになってきているのです。
*家庭でのブロードバンド環境の利用者が1000万人を突破
http://www.netratings.co.jp/press_releases/0123_Ranking_J_final.pdf
調査結果にもあるように、ブロードバンドユーザーのネット閲覧時間は長くなる傾向を見せており、ユーザーが多くのサイトを訪れるようになっていることを示唆しています。
ブロードバンド化はさらに、利用時間だけでなく、オンラインショップでの購買額の増大にも繋がっています。米調査会社フォレスターリサーチ社によると、2002年にブロードバンドを導入した米国のユーザーの20%が「オンラインショップでの購入額が以前より増えた」と回答しています。すでに2年から3年ブロードバンドを利用しているというユーザーにまで対象範囲を拡大すると、この数値は48%にまでアップします。
*Broadband puts new pressures on retailers.
http://www.forrester.com/ER/Press/Release/0,1769,789,00.html
ここでは、ブロードバンド化による売上増がどのようなジャンルで目立っているのかも調査しています。その結果、音楽のようなメディア商品はもちろん、家電・コンピュータのハードやソフトといった、消費者が十分な商品情報を集めたうえで購入に踏み切る傾向の強い商品カテゴリーで、特にブロードバンドユーザーの購入比率が高まっていることがわかりました。
ブロードバンド化が進んでも、ブロードバンドらしいコンテンツが少なく、メリットを受けることができるのは、まだまだ音楽・映画・ゲームのようなエンターテイメント系のジャンルの商品に限られてしまうのではないかという論調がありますが、今回のフォレスターリサーチによる調査結果に見られるように、ブロードバンド化のメリットは、ECサイトにも着実に広がっているのです。
「ブロードバンドユーザーの購買増」と、前述の「国内ブロードバンドユーザーの急増」という2点を考え合わせると、新たな方法による商品提案を試みる時期がきているといえるでしょう。
すでに米国では、3D画像による商品紹介が行なわれるようになっています。カジュアル衣料販売を行なうランズエンド(Land’s End)社では、「My Virtual Model」というバーチャルな3Dシミュレーション機能をサイト内に設けています。サイトを訪れたユーザーが、着る人の身長・体重・髪の色とスタイルなどの質問に答えると、同じ特徴を持ったオリジナルのモデルが画面上に作り出されます。ユーザーは、好みの服や靴をさまざまな色や形から選択してこのモデルに「試着」させ、トータルコーディネートされたモデルの立体画像を、正面・横・背後からチェックすることができます。
この「My Virtual Model」は、日本の同社のサイトでも利用できます。
*ランズエンド社
http://www.landsend.co.jp/
このように複雑なシステムを活用した商品提案をすぐに採用できる企業は、そう多くないかもしれません。しかし、ブロードバンドユーザーを対象に、鮮明で魅力的な商品画像や図表をふんだんに使ったプレゼンテーション・ページを追加するなど、すぐにでも可能な工夫はいろいろとあるはずです。
とはいえ、ブロードバンド化への動きは、まだまだ過渡期にあります。ダウンロード時間が短い従来式のページと、リッチコンテンツ・ページを、ユーザー自身に選択させる個別のリンクを設けるなどの工夫をしながら、コンバージョンレート(購買率)を高める試みを着実に進めたいものです。
無料レポート進呈中!
■ 無料レポート:法人オンラインショップの方からお申込多数 ■
「ネットビジネスの成功を保証するMBA的発想法」はこちら
メールマガジンの読者登録について
単行本化されベストセラーになり、まぐまぐの殿堂入りも果たしたメールマガジン。海外のインターネット・マーケティングのノウハウをこっそり伝授!なぜ今がチャンスなのか。アクセス向上&売上増の秘策満載。
「Pubzine」「めろんぱん」「Macky!」「melma!」からも配信中。登録はこちらをクリック!
「まぐまぐ」をご希望の方は以下に直接お書きください:かかさず読める メールでポン!