海外インターネットビジネス動向


News Volume 3 97年6月25日

カスタマーサービス:

ゲストブックにて、将来ホームページ上でお客様サポートを考えているという方のメールを頂きました。今回の「海外インターネットビジネス動向」は、早速このトッピクに関連する広義のカスタマーサービスについて、現状の事例をご紹介したいと思います。


(1)ホームページによるカスタマーサービスのメリット

●小人数体制が可能になり人件費の削減が可能。
●24時間のサービス体制実現。
●より選択肢のある顧客サービスにより、顧客との信頼関係向上。
●低コストでより充実した顧客情報のデータベースが構築可能。


(2)カスタマーサポートの事例

Lotus Development Corporation :
http://www2.lotus.com/home.nsf
(コンピュータ・ソフトウェアメーカー)

ソフトウェア会社のロータスでは、一人のお客様に電話で応対する時間が、十人の方にオンラインで対応するのとほぼ同じ時間に匹敵すると考えています。現在ロータスのカスタマーサポートのサイトは、独自ドメインネーム( http://www.support.lotus.com/ )を取得し、内容盛り沢山の顧客本位のホームページとなっています。

他ホームページの良いアイデアを、貴社カスタマーサービス・サイト構築の参考としてください。

●マルティメディア対応
まずユニークなアイデアとしては、ユーザーが「Screen Cam」というソフトをフリーでダウンロードできそのソフト上で、各種製品の使用方法の説明および一般的な問題の解決方法を、マルティメディア対応のムービースクリーンで視覚的に楽しみながら学ぶことができるサービスがあげられます。一般的に使用方法を説明してあるマニュアルは分かりにくいものですが、マルティメディア対応にすることで、顧客に製品自体の機能ばかりではなく、分かりやすさや楽しさという付加価値を与えているのです。

●多言語対応
ロータスのトップページには、合計6カ国語に対応しているサイトにリンクをしています。ロータスのソフトウェアは世界中で使用されているため、より顧客の分かりやすい状態で情報を提供しようという、「顧客重視」の姿勢が感じられます。

●必要な情報の見つけやすさ
多くの製品を扱っている企業がカスタマーサポートをホームページで行う場合、最初のトップページでいかに全体像をわかりやすく構成するかが重要になります。

このロータスのサイトでは、キーワードによる検索機能を付けているのはもちろんのこと、下記のようにカテゴリーをつくり、その各カテゴリーの中に各製品の項目を設け、ポップアップウィンドウを効果的に使用し、簡単に必要情報に到達できるよう工夫しています。

1. Product Support: 各製品関連情報の一覧リスト
2. FAQs: よく質問される事項のリストおよび回答
3. Top 10 Downloads
4. File Libraries: 各ソフトのダウンロード用FTPサイト情報

●顧客参加コミュニティー
ユーザーは、自分が使用している製品に対しての思い入れが強くなればなるほど、再度その製品の新しいバージョンを購入することが良くあります。この製品に対する親しみは、同じ製品を使用しているユーザー同士の情報交換を通して強められるのです。そのことを良く理解しているロータスでは、各製品毎に「User Discussion Communities」という場を設けて、自由に発言する場を作り「ユーザーの輪」を広げています。

●カスタマーサービスのための選択肢
上記までの説明は、ロータスがウェブ上で行っている「Lotus Support Web」という一つのサービス形態でしたが、ロータスは他にも様々なオンラインの媒体を使用し、サービス情報を提供しています。多くの情報提供の形態を作ることにより、それぞれの顧客が自分の使いやすい方法を選択できる自由度をもたらしています。

1. Lotus Knowledge Base: 毎月郵便でCD-ROMを入手するか、もしくはロータスノーツというネットワークソフト経由でデータベースにアクセスするかの選択。
2. Fax on Demand
3. Bulletin Board Systems
4. CompServe:商用オンライン会社でフォーラムを主催し情報提供。


(3)今後のカスタマーサービスの形態

ホームページ上で、顧客に製品情報、使用方法、トラブルの解決方法を提供していくことは、いままでの電話、ファクシミリなどの媒体利用に比べ、格段の効率化が実現できます。しかし現状は技術的にも発展途上の段階で、まだまだユーザーニーズを十分に反映していません。

たとえば、ある程度頻繁に問い合わせのある事項については、FAQs(Frequently Asked Queations)で回答をすることは可能ですが、ユーザーがそれ以上のより詳細な問い合わせを行いたい場合には、今の形態のホームページだけでは十分に対応が出来ません。一つの電話回線しか所有していない多くのユーザーは、インターネットでホームページを見ながら新たに電話で問い合わせをすることができないのです。

この解決法の一つとして、まだまだ発展段階ですが「インターネットホーン(Internet Phone)」があげられます。これは、電話の通常の会話とインターネット・アクセスを同時に可能にします。電話会社のMCIでは既に、「MCIVault」という音声とインターネットを同時に可能にするプロトコルを開発しています。これが製品化されれば、製品購入にあたって企業のホームページを見ながら、アイコンをクリックし、顧客サービスの担当者とスクリーン上で会話することが可能になります。

このように技術進歩にともなったインタラクティブなカスタマーサービスを実現することにより、より顧客との強い結び付きができ企業が発展していくのです。



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