海外インターネットビジネス動向


News Volume 29 98年7月1日

オンライン販売までの過程‐1

前回の「長期的なサイト構築計画」では、長期的かつ段階的に利益を確保していく方法を計画するモデルケースを説明しました。その後、いくつかの企業の担当者の方より、最近ある程度までアクセス数を上げることはできるようになったが、なかなか商品販売(利益確保)まで結びつかないというご質問をいただきました。そのため、今回は「明確なターゲティング」から「オンライン販売の売上増」までを、スムーズに貴社サイトで実現していく過程について考えてみたいと思います。


(1)今回紹介する「オンライン販売までの過程」に関する注意点

1.  明確なターゲティング
2.  カスタマーニーズの把握
3.  顧客にとっての利益
4.  オーダーまでのスピード
5.  信頼される企業イメージ


(2)「オンライン販売までの過程」

1.  明確なターゲティング

明確なターゲットとなっている訪問者の方が来てはじめて、商品販売のための第一歩が踏み出せます。もし、ターゲットが不明確な場合には、貴社の商品・サービスをどのようにアピールして良いのかがボヤけてしまうでしょう。ターゲットをはっきりさせるためには、サイトのタイトルのネーミングにキーワードを含み、検索サービスでターゲットとする方の目を引く工夫をする必要があります。

海外サイトではありませんが、弊社で運営する姉妹サイト「超初心者のためのホームページ検索術」は、インターネット初心者を主な対象者とし、効率的なホームページ検索方法について噛み砕いて情報を提供しています。サイトタイトルにキーワード「初心者」を含み、アンケート調査の結果でも、インターネット使用歴が3ヵ月以内の方が40パーセント以上になっています。

(ターゲットの補足)
このように簡単にターゲットという言葉を使用していますが、オンラインで本当のターゲティング戦略ができている企業はどのくらいあるのでしょうか?既存の顧客を対象にした場合、その方々の大半がインターネットユーザーであれば問題がないのかもしれませんが、実際には今までとは違う顧客層(ニッチマーケット)を対象に、インターネットビジネスを開拓することが必要な場合が多くなってきています。ぜひ想像力を働かせ、そのニッチを見つけてください。

2.  カスタマーニーズの把握

ターゲットがはっきりしてここで初めて、「カスタマーニーズ」を把握する段階になります。この「カスタマーニーズ」というのも、一言で説明できない難しさがあります。なぜなら、ターゲットとしている方自身もはっきりそのニーズを把握していない場合が多いからです。

そのため、貴社の商品特徴、競合企業の製品との差別化等から考えられるニーズを想像し、実際にどのようなニーズをターゲット層が持っているのか、テストを繰り返す必要があります。このニーズを的確に掴み、今後アピールしていくために有効なのが、「なぜこの商品を買うべきなのか」という項目です。この項をサイトの目立つところに設け、どの予想される顧客ニーズがアクセス向上、商品販売に結びつくかを分析してみてください。定期的にその「なぜこの商品を買うべきなのか」の理由を変更・テストし、本当の「カスタマーニーズ」を掴むことがオンライン販売増への近道です。

3.  顧客にとっての利益

「カスタマーニーズ」が明確になれば、顧客自身にもそのニーズを把握させ、顧客がどのように利益を得ることができるかを示す必要があります。その商品を購入することのメリットは何でしょうか?

●時間の節約が可能になる。
●ストレス解消になる。
●楽しみが広がる。

これらをはじめ、多くの顧客が得をする要素があるはずです。貴社が、商品・サービスを販売して利益を得る以前に、顧客がどのような利益を得ることができるかを考え、それを実際に顧客見込者にもはっきりと示すことで、貴社がはじめて利益を確保できるようになります。インターネットの世界では、より「Give and Take(ギブ・アンド・テーク)」が必要なのです。

4.  オーダーまでのスピード

これまでの3項目で指摘したことは、この「オーダーまでのスピード」がともなってはじめて効果的に働きます。前々回のニュースレター「閲覧のスピードアップ」でもご紹介した、インターネットユーザーが実際にオンラインに滞在している時間に関する統計からも明らかですが、訪問者が貴社サイトに滞在している時間というのは本当に短い時間です。そのため、そのユーザーを逃がさず、貴社の商品を気に入ってもらい、オーダーしてもらうまでのプロセスをできるだけ簡潔にする必要があります。

トップページに、「なぜこの商品を買うべきなのか」を示し、オーダーページに直接リンクをするなどの工夫をし、このスピード化を図ってください。

5.  信頼される企業イメージ

最後に補足として、オーダー率を上げるもっとも大切な項目を説明しておきます。それは、ユーザーが、そのホームページを開いている企業に「信頼感」を感じることができるかです。オンライン販売の成功例としてよく紹介される書籍を扱っている「Amazon.com」などでは、企業イメージが確立し信頼感へと結びつき、確実に売上を伸ばしています。

同じようにこの信頼感を確保するためには、企業紹介もしくはサイト紹介のなかで、「プレスリリース」「各種表彰」「業界団体の会員」等について記載し、第三者によって信頼される紹介等がされたことを示す必要があります。

●これらの項目をよく網羅しているサイトを、参考としてここにご紹介しておきます。すでにこの「海外インターネットビジネス動向」のニュースレター(Volume -12)でご紹介した「Dell Computer」です。以下のリンクで「Dell Computer」のサイトの特徴を確認ください。

ニュースレター(Volume -12)


このようにオーダー率を上げるためにマーケティングの基本にかえり、全体的にスムーズな流れができるように貴社サイトのチェックを訪問者の立場から行ってみてください。



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