海外インターネットビジネス動向
News Volume 30 98年7月15日
ターゲティング‐1
貴社のウェブサイトを構築するプロジェクトに、マーケティング担当者は含まれていますか?情報システムに所属する方がウェブマスターになり、兼任で外注先のホームページ制作会社とプロジェクトを進めているケースが多いのではないでしょうか?この結果、ホームページ作成の目的が不明確になり、ビジネスとしてホームページが十分に活用できていないのではありませんか?これでは、多くの費用が無駄になってしまいます。
この無駄を防ぐためには、ホームページ作成プロジェクトにマーケティングのノウハウを盛り込む工夫が必要です。そのため今回は、マーケティングのもっとも基本である「ターゲティング」について改めて考えてみたいと思います。
(1)「ターゲティング」の分類
1. 地理的分類
2. 人口統計による分類
3. 心理面による分類
4. 行動様式による分類
(2)「ターゲティング」とは:
1. 地理的分類
インターネットの発達が、地域格差をなくしているとも言われています。しかし、「ターゲティング」の観点から言えば、地域性というニッチ市場が必ず存在します。その地方独特の地域性、その都市独自の特性、そして気候的な要素や大都市と地方都市の違いなど、多くの地理的分類による「ターゲティング」が考えられます。
2. 人口統計による分類
インターネットユーザーに関する統計は、さまざまな機関により定期的に実施されています。急激に増加しているユーザーにも特徴があり、20代、30代の男性を中心に徐々にそのユーザー層も広がってきています。この動向(年齢、性別、家族構成、年収、職種、教育レベル等)をきちんと把握することで、「ターゲティング」の明確化が可能になります。
3. 心理面による分類
日本は総中流社会と言われて久しいですが、それでもライフスタイルや個人の性格・価値観などにより分類することができます。バブル経済が崩壊してから、日本の職業意識もより多彩になり、依存心の強い人から独立心の強い人までの幅も広がってきています。このような心理的要素の分類分析も、興味深いターゲット層の掘り起こしに役立ちます。
4. 行動様式による分類
ある商品を定期的に使用する頻度が、高い人から低い人まで。季節的な要因に強く影響される人から気まぐれな人まで。価格に敏感な人から、品質にこだわる人まで。さまざまな個人の行動パターンにより分類することができる「ターゲティング」もあります。
以上見てきた基本的なターゲティングの分類を考慮し、市場の大きさ、競合他社数などから、自社が対象とするターゲット層を、どのような切り口で見つけるのか。そして、ホームページにかける人員、費用等から考えると、どのくらいの規模のターゲット層を対象にするべきなのかを充分に検討してください。
(3)今回紹介する「ターゲティング」の事例
Beech-Nut Nutrition Corp.:
http://www.beechnut.com/
(Beech-Nut Nutrition Corp.は、赤ちゃん用の離乳食を製造するメーカーです)
ある調査によると、アメリカの離乳食市場は約800万ドルになります。この市場規模に対してアメリカの検索サービスの「Yahoo!」の該当カテゴリーは、「Business and Economy: Companies: Food: Specialty: Baby Food」になり、現在は8社が登録しています。
離乳食を食べ始める幼児を持つ親の年代である20代、30代は、今もっともインターネットを使用しているユーザーとも一致しています。そのため、これらの企業にとっては、彼らを対象に宣伝活動等をホームページから行うことは、重要なビジネス戦略になるはずです。
この「Beech-Nut」のサイトでも、幼児にきちんと栄養ある食事を取らせるためのアドバイスを、幼児の成長過程に合わせてステップ・バイ・ステップで紹介しています。そして、この「Beech-Nut」の商品は、現在の20代、30代の両親の関心が高い「塩分控えめ」「保存料なし」など、彼らの「行動様式によるターゲティング」も充分に考慮した商品を作り、ホームページにも反映しています。
●日本の離乳食メーカーのターゲティング:
比較するために、「Yahoo! Japan」に同様の「Baby Food」に関するカテゴリーがあるかどうかを調べてみました。この結果、上位カテゴリーの「Specialty」まではありましたが、「Baby Food」のカテゴリーはありませんでした。
そのため改めて「離乳食」をキーワードにして検索を行うと「Food's Foo」という食の総合サイトというホームページの一部に、「Baby Food's Foo」というコーナーがありました。「江崎グリコ」「森永乳業」等がスポンサーになり、これらの企業の商品を使ったレシピの紹介をしています。
先に説明したように、この「離乳食」というカテゴリーは、現在のインターネットユーザーの使用者統計と重なりの多いターゲット層です。このニッチマーケットを対象にした独自サイトを作成することで、新しいビジネスチャンスが広がるはずです。
このように、日本の企業サイトではターゲティングが充分にできていない場合が多く、せっかくのビジネスチャンスを逃しています。貴社の既存の顧客層が、必ずしもオンライン上のターゲットと一致しない場合も多いため、きちんとインターネットユーザー統計やアメリカの関連業界のオンラインマーケット動向を調査して、結果がともなうホームページ作りを心掛けてください。
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