海外インターネットビジネス動向
News Volume 31 98年7月29日
カスタマーニーズ‐1
前回のトピック「ターゲティング」が明確になれば、次の段階ではその顧客層が、どのようなニーズを持っているかを分析・把握しなければなりません。前回同様、マーケティングの視点から「カスタマーニーズ」の分類についておさらいし、どうサイト構築に生かすかを見ていきましょう。
(1)コトラーによる「カスタマーニーズ」の分類
1. 言及されたニーズ
2. 真のニーズ
3. 言及されないニーズ
4. 楽しみのニーズ
5. 隠されたニーズ
(2)「カスタマーニーズ」とは:
1. 言及されたニーズ
たとえば、ある人が安いコンピュータを購入する計画を立てていたとしましょう。この人が考えている「安いコンピュータ」というのは、高価な商品を購入しようとする場合、しばしば口にするニーズでしょう。しかし、このニーズだけではなく、以下で説明するそれぞれのニーズが総合的に解釈されてはじめて、顧客のニーズが把握されたことになるのです。
2. 真のニーズ
安いコンピュータという場合に、これは最初にコンピュータを購入するときの、ハードウェアの初期費用だけを表すとはかぎりません。ある程度の使用期間を想定して、その期間中にかかる修理費用、メンテナンス費用等も考慮した、最終的にかかるであろうトータル費用を安くしたいというのが、実際の顧客ニーズかもしれません。
3. 言及されないニーズ
上記のような「真のニーズ」がもしある場合、「言及されないニーズ」とは何でしょうか?それは、コンピュータに対する信頼性かもしれません。信頼性が高い製品の場合には、余分な修理費用を節約することができます。または、長い保証期間の提供で、その商品の初期費用が多少高くとも、購買意欲を刺激することができるかもしれません。このように、実際に言及されないニーズにも、隠された影響力が充分にあるのです。
4. 楽しみのニーズ
コンピュータを購入するときの基準として、どのようなソフトウェアが無料でインストールされているかが影響する場合もあります。これは、顧客がコンピュータというハードばかりではなく、実際に使用するために必要な使いがっての良い、互換性の高いソフトウェアが含まれるという付加価値に、高い優先順位を付ける場合があるからです。
5. 隠されたニーズ
この他にも、他の者には言わないが、購入者自身の価値観を満足させるニーズというのもあります。たとえば、高価な人気製品を購入することで、知り合いからうらやましがられるという優越感を感じることができる場合です。その商品を持っていることで、他の人との差別化を自分自身が行うことができる時に、この「隠されたニーズ」は確実に存在します。
このように一言で「カスタマーニーズ」といっても、さまざまな角度から見る必要があります。その明確に浮き彫りになってきたニーズを、実際のサイト構築に生かすのです。貴社が行うインターネットビジネスで対象とするターゲットが好むスタイルで、このニーズを満たすホームページ制作が必要です。
(3)今回紹介する「カスタマーニーズ」の事例
Gardener's Supply Company:
http://www.gardeners.com/
(Gardener's Supply Companyは、園芸用品販売企業です)
Gardener's Supply Companyのサイトが実践している「カスタマーニーズ」を把握し、顧客満足へ結び付ける方法についてここで説明しましょう。
●充実したQ&A
このサイトの「Q&Aのコーナー」は、サーチ機能を施し、今までにユーザーから問い合わせのあった質問に対する「専門家の回答」をすべてデータベース化し、顧客が現在認識しているニーズに対する回答を容易に探すことができるようなっています。
この専門家に質問をすることができる場は、企業にとってはユーザーのニーズ把握に役立ち、ユーザーにとっては自分が気づいていないニーズの発見につながります。たとえば、ユーザーが、植物に水をあげるための道具として、今まで使っていたのと同様の商品を探している、という質問をしたとします。しかし、経験豊富な専門家であれば、もっと便利な別タイプの商品を紹介することができるはずです。このことで、ユーザー自身も気づいていなかった「言及されないニーズ」が明確になる場合があります。
●「Meet a Gardener」
ユーザーのニーズをしっかり吸い上げるためによく工夫されているもう一つのコーナーが、この「Meet a Gardener」です。ここでは、園芸に熱心な、そして知識・経験が豊富な顧客や関連業者等を順番に紹介し、それぞれのノウハウを紹介しています。自分のノウハウを他の人に知ってもらいたいという欲求。これを満たすコーナーを設けることで、ユーザーがどのような形でオリジナルの園芸を取り入れているかを把握することができ、そこからニーズ発見につながる場合があります。
●「Better Gardening Bulletins」
このコーナーも各種トピックを設定し、ユーザーからのアドバイスを受け付け、まとめた形でサイト内で掲示板として紹介しています。このコーナーも先の「Meet a Gardener」と同様に、ユーザーの参加意識を高め、そのコミュニケーションの中からニーズを発見する場になっています。
●100% Satisfaction Guarantee
上記のような各種コーナーを設けることで、さまざまな予想がむずかしい「カスタマーニーズ」の把握が可能になっているはずです。そのニーズを満足させる保証をここで宣言し、理由のいかんにかかわらず、購入商品の代金返済や代替品の提供を約束しています。この宣言により、カスタマーニーズが顧客満足に結びつき、ひいては売上増へとつながるのです。
●顧客からのメーセージ
さらに、このサイトで実際に商品を購入し、満足したユーザーからの声を、さまざまなページに載せることで、「100% Satisfaction Guarantee」が本当に納得のいくものであることを、新規ユーザーにアピールしています。この安心感の付加が、「ターゲティング」「カスタマーニーズの把握」「商品販売」「顧客満足」「常連顧客の確保」へという一連の流れを、スムーズにしています。
このように「カスタマーニーズ」という話題一つとっても、さまざまに検討しなければならないことがあります。ターゲット別に、カスタマーニーズを把握する方法も多彩にあります。このマーケティングの視点から見るスムーズな流れをきちんと実践し、ユーザーの購買意欲を上手く刺激する方法を改めて考えてみてください。
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