海外インターネットビジネス動向
News Volume 49 99年5月26日
商品提案にもコツがある
多くの商品販売サイトを訪れて気づくのは、商品のディスプレイに随分と違いがあるということです。本当にこのレイアウトでこのサイズの写真画像が必要なのかといった疑問を抱かせるケース。商品の特徴を十分に引きだしていない画像を使用しているために、ユーザーの目を引くことに失敗しているケース。商品を紹介するタイミングが悪く、流行遅れや時季はずれの商品で貴重なスペースがふさがっているケース。そしてユーザーニーズよりも「これを売りたい」という自社の都合だけで陳列商品を決定しているケース。このように、ホームページでの商品提案が適切でないケースは意外に多いのです。
今回は、充実したお薦めコーナーを設け、訪問者に分かりやすく商品を選んでもらう工夫を施している玩具サイトを事例に、効果的な商品提案のポイントについて考えてみましょう。
●今回紹介する「商品提案」の事例
eToys:
http://www.etoys.com/
(「eToys」は、オンライン玩具販売のリーディングカンパニーです。フォレスター・リサーチによると、玩具販売の電子商取引市場は、98年に6800万ドル規模に達し、2003年には15億ドル市場にまで拡大すると予想されます)
1. タイミング重視の商品陳列
多くのインターネットユーザーは、漠然とネットサーフィンをしているというよりは、具体的にこの商品が欲しいと考え、さまざまなサイトを訪れています。たとえば、いま話題の商品をタイムリーに陳列することで、購入意欲が高まっているユーザーを確実に顧客とすることができるのです。
「eToys」も、今月米国で公開され話題となっている映画「スターウォーズ・エピソード1」関連の商品コーナーを設け、そのコーナーに多くのインターネットユーザーを引きつけるように、写真画像を効果的に使用した紹介を行っています。さらに、簡易プールや水鉄砲など夏向け商品のコーナーも画像アイコンとともに目立つように紹介し、季節により売れ筋商品が左右される業界らしく、的確なタイミングの更新を行っています。
2. 目立つレイアウト
タイミングを考慮した更新が行われたとしても、そのコーナーを十分に目立たせる工夫がなされなければ効果が半減してしまいます。
「eToys」のサイトには、合計9種類の「お薦めコーナー」が設けられています。このスタイルには、多様な訪問者のニーズに応えられるという強みがあります(次項参照)。ただし、各コーナーの特徴を効果的にアピールしないことには、それぞれの印象がぼやけてしまって十分な効果を期待することができません。
「eToys」のトップページは、左サイドで全コーナーへのリンクをシンプルにまとめ、右サイドでも、時節にかなったいくつかのコーナーへの案内を目立つ画像と一緒にレイアウトする工夫を行っています。これにより、さまざまな動機・関心をもってサイトを訪問しているユーザーの目を積極的に引きつけているのです。
3. 多彩なお薦めコーナー
「eToys」では、上記でご紹介した「映画関連の商品」や「季節商品」ばかりではなく、「ベストセラー」「今月のお薦め」「20ドル以下で買えるベスト20」「賞を獲得した玩具」「人気キャラクター商品」「伝統的玩具」「おもちゃ箱の必須アイテム」の計9カテゴリーで、きめ細かくお薦め商品を紹介しています。
オンライン・ショッピングでは、店頭で係員に相談するような感覚で自分の関心やニーズを伝えることがなかなかできません。そこで、さまざまなニーズと目的をもって訪問してくるユーザーの期待に少しでも応えるため、多彩なお薦めコーナーが設けられているのです。
玩具店に家族で出かけると、必ずといっていいほど駄々をこねる子供に手を焼かされます。しかし、オンライン・ショッピングならゆっくりと商品を選ぶことができます。「eToys」は、余裕をもってショッピングに臨んでいる顧客に、行き届いたお薦め情報をふんだんに提供しているのです。
カタログ販売とは違い、ホームページを容易かつ頻繁に更新することができるのが、インターネット販売の強みです。その特性を十分に生かし、訪問者から生き生きとした反応が返ってくる商品の提案方法を工夫したいものです。ユーザーが求めているものは、商品の性質によっても時期によっても違います。その刻々と変化するユーザーニーズを的確に把握し、ホームページ上で分かりやすく、目立つ形で紹介するのです。これを機会に、御社がホームページで行っている商品紹介の方法を、客観的に見つめ直してみてはどうでしょうか。
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