海外インターネットビジネス動向
News Volume 67 2000年5月31日
愛好家・マニアをねらえ
ニッチ市場をねらうことが、競争が厳しくなりつつあるインターネットビジネス業界の一つの解決策となります。さらに、ニッチ市場の中でも、こだわりの強い愛好家・マニアをターゲットとした市場の開拓は、リピーターの確保がしやすく、長期的に売上を安定させることが可能となります。
インターネットが登場するまでは、そのようなニッチをねらうことがマイナスに働くこともありました。既存の店舗では、営業を行なえる活動範囲が地理的に制限されるため、絞り込んだ商品を扱ってしまうと、なかなか売上増をねらうことがむずかしかったのです。しかし、インターネットビジネスにおいては、商品の絞り込みがプラスに働きます。広範囲のユーザー層を対象とすることができるため、絞り込んだ商品群でも十分な売上を確保することが可能となるのです。また、この商品の絞り込みが、サイトの特色を示すことにもなります。
今回のニュースレターでは、犬用の玩具を扱っている「DogToys.com」を事例に、ニッチ市場をねらうポイントについて解説してみましょう。
今回取り上げる事例
DogToys.com:
http://www.dogtoys.com/
1. リコメンド機能
DogToys.comが対象としている犬の愛好家をはじめとして、さまざまなジャンルの愛好家やマニアは、横の繋がりが強いグループ層です。そのため、ユーザー間の紹介を促す仕組みを導入することで、絞り込んだユーザー層を対象としながらも、市場の拡大を促進することができるのです。
このことを意識している同社では、リコメンド機能を設けています。「Recommend a friend」というアイコンをサイト内のあらゆるページに置き、そのアイコンをクリックすると、簡単に友人あての電子メールを送ることができるフォームが現れます。フォームのコメント欄には、「あなたが興味を持ちそうな犬の玩具を集めたサイトを見つけました」という、DogToys.comを薦める文章とサイトのURLがあらかじめ記載されています。あとは、友人と自分の電子メールアドレスを書き加えて送信するだけです。
2. アフィリエートプログラム
愛好家を対象とした企業サイトに、アフィリエートプログラム(リンクをクリックして訪れたインターネットユーザーの商品購入額に応じて、リンク元サイトのオーナーにコミッションを支払うプログラム)を導入することは、アクセス増や売上アップにかなりの効果があります。
愛好家やマニアは、自分のこだわりについて情報発信をしたいと考えるユーザーの割合が多いグループです。こうしたユーザーは、かなりの割合でウェブサイトを持っていることでしょう。このことは、DogToys.comにリンクをしてくれる可能性の高いサイトが数多く存在していることを示しています。このような環境が整っている、愛好家を対象とした企業サイトでは、特にアフィリエートプログラムが有効なのです。
3. ユーザー参加企画
愛好家にとって、ユーザー参加型の企画があると頻繁にそのサイトを訪れるきっかけになります。たとえばDogToys.comでは、ちょっとユニークなアンケートのコーナーを用意しています。現在は、「あなたは今までにドッグフードを食べてみたことがありますか」という質問が掲載されており、Yesと回答した人が27%もいることが紹介されています。
このような質問コーナー以外にも、愛好家クラブを設立したり、コンテストを実施したりと、愛好家の再訪を促すさまざまなユーザー参加企画が考えられるのではないでしょうか。
今回ご紹介したように、ネットビジネスにおいてニッチ市場をねらうことは、インターネットの特徴をうまく利用したビジネス展開になるのです。他企業が気づかないニッチ市場を見つけ、しっかりと収益の上がるビジネスモデルを作りたいものです。
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