海外インターネットビジネス動向
News Volume 85 2001年8月8日
期待されるリッチメディア広告
検索サービスのYahoo! Japanを訪れると、ブロードバンドサービスのYahoo! BBが大々的に宣伝をされています。常時接続で大容量のデータ伝送を可能にするブロードバンド商品が徐々に登場していましたが、ここにきてヤフーの低価格のYahoo! BBが参入することで、一気にブロードバンド・ユーザーが拡大しそうです。
今までは、28.8kbpsや56.6kbpsのモデム速度で、なおかつ電話料金を気にしながらインターネットに接続している多くのユーザー層を念頭においたサイト・デザインやバナー広告の制作が行われてきました。そのため、マーケティングの視点から、もっとブランド戦略を意識したバナー広告を行いたいと思っても、限られたファイルサイズではなかなかビジュアル的に優れたバナー広告が制作しにくいという現状がありました。
このようなことも背景に、以前目にしたバナー広告が消費者のこころに残り、後日何かのきっかけでオンラインショップやリアルの店舗で商品を購入するという購買行動に結びつけることへのむずかしさがありました。そのため、バナーをクリックしたり、クリック後に商品を購入したりなど、何らかのアクションを起こさせたことに対価を支払うということが、インターネット広告で一般化したのです。
しかし、ブロードバンド・ユーザーが増えることで、その場でのアクションばかりを期待しない、ブランド戦略などを考慮した新たな広告活動の認知度が高まる時代が訪れつつあります。そのような広告スタイルは、既存のテレビやラジオなどで長く行われてきました。そのため、広告主となる企業にとっても、ユーザーの印象に残りやすいビジュアルでサウンドを活用した新たなネット広告は受け入れやすい存在となるはずです。
今回のニュースレターでは、音楽や映画などのプロモーション用プレビュー映像の紹介サイトを運営しているファーストルック(Firstlook.com)が公開しているリッチメディア広告について考えてみたいと思います。
今回取り上げる事例
Firstlook.comのデモコーナー:
http://www.firstlook.com/demo/
1. ストリーミング・メディア・プレイヤー広告
まずは、「Windows Media Player」もしくは「Real Player 8」を利用するストリーミング広告です。現在は、まだブロードバンド時代への過渡期であるため、ユーザーのモデムスピードを選択することができる機能が付いています。56.6kbpsから500kbpsまで4段階のスピードを選ぶことができます。このことにより、表示される画像やサウンドの質に差をつけ、ファイルサイズを調整しています。
デモでは、音楽・映画・ゲーム・テレビのジャンルに分類し、それぞれのプロモーション広告を掲載しています。また、広告を掲載するプレイヤー自体にもさまざまな特徴があります。異なるサイズが用意されていたり、ボタン等が立体的なものからフラットなものまで、さまざまな形態を揃えています。
今までのバナー広告とは異なり、臨場感がある演出が可能となり、提供できる情報量も多くなります。たとえば、ゲームソフトの紹介デモでは、動きのあるシューティングゲームがサウンドとともに効果的に演出され、動作環境(PlayStation2やWindows PCなど)、最近の人気ソフト・ランキングなどについての多彩な情報も提供しています。
2. フラッシュ広告
カーソルを指したボタンの色が変化するなどの効果を演出することができるフラッシュ画像を取り入れた広告です。たとえば、最近の売上DVDベスト10などのリストを作成し、関心のあるDVDタイトルをクリックすると、先ほどのメディア・プレイヤー広告が別画面に立ち上げるなどの組合せも可能となります。
このフラッシュ広告を、映画紹介のウェブサイトのインデックスなどに組み込むことで、単にテキスト文字でランキングを作成するよりも、インパクトが強く、クリックされやすいリストを掲載することが可能となるのです。
3. 自動車メーカー用広告
特にファーストルックでは、自動車関連の広告に力を入れています。たとえば、BMWの車体の一部が写真画像になり、そこにデザインされているクリック・マークを押すと、BMWの車が山地をスピーディーに走っている映像が現れ、その後4車種名がリストアップされます。その中で希望の車種名をクリックすると、メディア・プレイヤー広告が現れ、さらに動画とサウンドで演出した車紹介を行います。
この車関係の広告や、旅行関係の広告など、すでに積極的にインターネット広告を行っている業界向けに、さらにインパクトのある広告展開を企画することで、インターネット広告業界の活性化が図られるのではないでしょうか。
4. メール広告
他にもファーストルックでは、プレビューメールという広告も用意しています。氏名、電子メールアドレス、メールのタイトルを記載するフォームが用意され、友人などに自分のお薦めする映画などのプレビューを届けることができます。
最近のメールソフトは、HTMLメールを受け取れるものが多くなっています。そのため、常時接続でネットにアクセスしているユーザーであれば、メールを開いたときにウェブサイトと同様の画像やコンテンツ・レイアウトを、メールソフト内で見ることができるのです。
この機能を利用し、ファーストルックでは、単にテキストによる紹介文を送るのではなく、インパクトの強い視覚的に訴えるメール広告を、インターネットユーザー間で配布してもらう仕組みを設けているのです。
調査会社のMillwood Brown Interactiveによると、リッチメディア広告は既存のバナー広告と比べ、ブランドの認知度を高め、高いクリック率を実現し、広告主の商品の購買率も上げているということです。
今回のファーストルックのデモコーナーに用意されているさまざまな形態のリッチメディア広告を見ても、この調査結果に現れている効果を裏付ける出来ばえになっていると思います。確かに、印象に残り、思わずクリックしたくなります。このように、今まであまり目にすることがなかった広告方法が、ブロードバンドとともに可能となり、新たなインターネット広告市場を作り出すであろうと期待されています。
さらにこのリッチメディアは、画像やサウンドなどによっての演出が可能となるばかりではなく、インターネット・マーケッターが戦略を作成するときに必要とするユーザーの属性や好みなどの貴重なデータを、より収集しやすくなる媒体でもあります。多彩な情報提供とユーザーからの容易な情報入手。このことを可能にするリッチメディア広告を通して、情報を扱うテクニックが養われ、それが各社のノウハウになっていくのです。
(今回のニュースレターでは、文章でリッチメディア広告を説明しましたが、言葉だけでは読者の皆さんに伝わらない部分も多いと思います。ぜひ、ファーストルックのデモコーナーをご覧になり、新たなプロモーションツールの参考にしていただければと思います)
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