海外インターネットビジネス動向
News Volume 86 2001年9月19日
ネットビジネスを成功に導く5つのポイント
ソフトバンク・パブリッシング社発行月刊誌「ネットランナー」に執筆していた連載記事の最終回(2001年9月号)の一部をニュースレターとして発行します。ネットビジネスに関心が高い皆さんのお役に立てばと思います。また、この記事に書いている内容に基づいて、インターネットビジネスのコンサルティングを行っています。ぜひ一度、ご相談ください。
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■インターネットビジネスを、ウェブサイト構築のためのデザイン的な視点とは異なるインターネット・マーケティングの視点から解説してきたこのコラムも、今回が最後となる。
前号までのコラムでは、ネットビジネスの各種の形態を紹介したり、さまざまなネット業界が異なるアプローチでビジネスを進めていることを解説してきた。収益モデルや業界特性は一様でないため、個々のケースにあわせたネットビジネスの進め方を総合的に理解した上で、自社なりのプランニングを行う必要があるのだ。
実際のサイト構築に関わるデザインは、あくまでもプランニングの一要素に過ぎない。企業が取り組んでいくネットビジネスの今後数年にわたる全体的な方針に沿って、サイト運営の目的の明確化・対象ユーザーの絞り込み・ユーザーニーズの把握など、自社なりのネットビジネス戦略を立案することが必要だ。こうした努力なくして、ホームページ制作会社を主導することは出来ないし、ネットビジネスの成功も望めない。
また、ホームページ制作会社では対応がむずかしいサイト告知方法のプランニング、つまり効果的なサイト・プロモーションの検討も必要となる。サイト内容の刷新や利用するプロモーション媒体の変更が売上に与える影響などのデータを蓄積・検証していくことで、自社なりのノウハウを培い、ネットビジネスの成功に近づけるのだ。
加えて、ネットビジネス自体の市場動向などの動きを敏感に掴み、プランニングに役立てる必要もある。インターネット・マーケティングは、このようにホームページ制作会社がタッチしないさまざまな領域で企業のネットビジネスを総合的に支援する分野である。
最後のコラムとなる今回は、最近のコンサルティング活動を通して、多くの中小企業等が見失っているように感じられるインターネット・マーケティングの5つのポイントについて、改めて解説を行いたいと思う。
■ネットビジネスを成功に導く5つのポイント:
(1) 現状を知る 市場・ネットのトレンドと競合他社動向の把握
(2) 収益源の確保 収益を上げるためのシナリオ作り
(3) ターゲティング 新規顧客の獲得だけにとらわれない
(4) プロモーション 媒体の選択とキャンペーンのマネージメント
(5) 結果だけではない 現状分析が改善案を生む
1. 現状を知る
ネットビジネスのプランニングを行う場合、現在のネットビジネス全体のトレンドや将来予測、そして自社が属する業界のネットビジネス動向、できれば同業界の米国ネットビジネスにおける動向までを把握していると、長期的なプランニングがしやすくなる。そして、現在何をしなければならないのか、そしてどのようなステップで自社サイトを育てていけばよいのかの大枠が見えてくるのだ。
このような形でビジネスを進めなければ、トレンドに乗ることが出来ずに無駄な労力と予算を使ってしまうことにもなりかねない。また、今後の業界の進むべき方向性や競合他社の取り組みが分からなければ、自社の特色を的確に示すことがむずかしくなり、多くの企業サイトの中に埋もれてしまう結果になりがちだ。これでは、十分なアクセス数を得ることはできない。
2. 収益源の確保
多くのドットコム企業が広告収益のみに頼り、苦戦しているといわれている。すでにこのような企業は、米国でも倒産や吸収合併によって淘汰されつつある方向だ。もともと広告を出稿する企業数に限りがある点と、広告収益に頼る企業側が自社のコアビジネスにばかり熱心で、広告主である企業の売上にいかに貢献できるのかというシナリオを十分に示すことができなかった点が、現在苦戦を強いられている大きな原因ではないだろうか。
インターネット・マーケティングでは、広告収益に頼る企業サイトばかりでなく、販売を主体とする多くの企業サイトの収益を伸ばしていくためにも、ユーザーの属性と購買などのアクションに関するデータを重視する。それらのデータを収集し、管理することができる仕組み作りを行うことができてはじめて、安定した収益源の確保へと一歩踏み出すことができるのだ。
3. ターゲティング
「アクセス数を伸ばすためには、どうすればよいのでしょうか」という質問をよく受ける。多くの企業サイトが目指す販売を主体としたネットビジネスを運営する場合には、ただ単にアクセス数を伸ばせばよいというものではない。自社の商品やサービスに十分に関心の高いユーザー層をしっかりと呼び込み、分かりやすく商品・サービスの提案を行わなければ、最終的な目的である販売には結び付かない。絞り込んだユーザー層をしっかりと頭に描くことで、効果的なキャンペーン等がしやすくなり、投資に見合った数の見込み客を囲い込むことができるのだ。
また、新規ユーザーの獲得ばかりに目を向けてしまうと失敗する。既存客も一つの重要なターゲット層として認識することが大切だ。新規顧客の獲得費用よりも、既存の顧客からの売上増をねらう手段を検討する方が低コストであるため、既存客の購買回数を増やしたり、まとめ買いの額を増やすためにはどのような方法が有効であるのかを検討することが必要となる。
4. プロモーション
キャンペーン活動の投資効果が分かりやすいのがインターネットの特徴だ。そのため、ネットに関連したバナー広告、メール広告、オプトインメール、懸賞キャンペーン等のさまざまなプロモーション活動をどのような予算配分で展開すればよいのかを十分に検証できる。最初は、小額の広告予算で企画し、もっとも投資効果の高い広告方法を見つけていく。その過程で、このような媒体にこの種の広告を行うとこのような結果になる、というデータが蓄積され、それがその会社なりのノウハウになっていくのだ。
このように、プロモーション効果の測定がしやすいという媒体の特性を最大限に生かし、プロモーションを通じて得られる貴重な情報をきちんと整理・分析することで、将来のビジネス戦略立案に役立てていくというネットビジネスのサイクルが出来あがる。
5. 結果だけではない
売上高や注文件数という結果ばかりをみて、ネットビジネスはダメだという短絡的な結論を出す企業がまだまだ多いようだ。インターネットの場合、アクセスログ解析ソフトを活用するだけでも、自社のさまざまなネットビジネス活動の現状を知ることができる。たとえば、日・週・月単位で何人のユーザーが訪れているかが分かると、購買者数との比率でコンバージョンレートを導き出すことができる。扱う商品によっても異なるが、通常のサイトでは0.5%。この割合を増やすためにはどうすればよいのかを検討することで、自社サイトのリニューアルなどの方針を考える土台とすることができるのだ。
他にもアクセスログからは、検索エンジンでどのようなキーワードを使ってユーザーが訪れているのか、人気ページと不人気ページはどこなのか、どのような時間帯にユーザーが訪れているのかなど、さまざまなことを知ることができる。最終的な販売実績だけを見て失望していては何も新たなことは生まれない。そこに至るまでの実態を把握することで改善案が生まれるのだ。
ネットビジネスで勝ち組になっていくためには、インターネット・マーケティングによる体系的なプランニングが必要になっていることを、さまざまなネット業界を事例に本コラムで紹介してきた。それらの内容をもとに、多くの企業が自社なりのネットビジネスの戦略プランを立案・実践し、国内のインターネットビジネス全体の活性化に繋がればと願っている。
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