海外インターネットビジネス動向
News Volume 87 2002年1月30日
ネットビジネス:明るい材料2002
この1月は、2001年を振り返った海外の各種の調査結果が発表されています。その内容を見ると、最近ネットビジネスが厳しい状況にあるというニュースが国内でクローズアップされている割には、好材料の結果となっています。
海外での全体的な売上増の背景には、ネットビジネス業界の再編があり、クリック&モルタル企業を中心に、競争力のある企業が確実に頭角を現しています。
このようなドットコム企業主体からクリック&モルタル企業主体へという変化に即して、ネット専門のドットコム企業がビジネスプランの修正を行う必要に迫られていることはもちろん、それらのドットコム企業にどう対抗するのかというビジネスプランを検討していた他企業も、自社のビジネスプランの修正もしくは新規作成が必要な時期が訪れています。
改めてビジネスプランを作成するためには、現状をいかに正確に掴んでおくかがポイントになります。そのため、厳しい状況ばかりではないという情報について、今回のニュースレターで扱っておきたいと思います。
1. 米ネットユーザーの2001年支出 約20%アップ
comScoreの記事
http://www.comscore.com/news/ecommerce_2001_review.htm
comScoreによると、米国のオンラインショップ(小売業)の総売上が530億ドルに達し、前年比約20%増となりました。同時多発テロ後、旅行関係のウェブサイトでは厳しい状況が続いていますが、その他のジャンルでは外出を控えているユーザーや価格比較等の便利さを感じているユーザーが、ホリデーシーズンの買い物をネットで積極的に行ったという動きを窺い知ることができます。
ジャンル別の売上高の割合では、厳しい状況になったといわれながらも旅行業界がリードし、テロ後の第4四半期でも32%となっています。年ベースの割合では、旅行36%・コンピュータのハードウェア15%・アパレル&アクセサリー10%・オフィス用品8%・家電品6%・書籍4%・イベントチケット3%・ホーム&ガーデン用品2%・音楽2%・ヘルス&ビューティー2%・その他12%となります。
これらのパーセンテージと先の総売上高530億ドルから、各ジャンルのおおよその市場規模が計算できます。自社が関わる国内の市場規模予測の参考にもなるのではないでしょうか。どの位の市場規模の中でビジネスを行い、その中で何パーセントくらいのシェアを獲得しているのかという目安を頭に入れていると、ビジネスのビジョンが立てやすくなります。
他にも注目できる調査データがありました。ブロードバンドユーザーの支出額がダイヤルアップ接続ユーザーよりも14%高く、購入回数も多いという結果が出ています。国内でも急速にブロードバンドユーザーが増えているため、これも今後に希望を持たせるデータになるでしょう。
2. 米企業間取引も増加傾向
Forrester Researchの記事
http://www.forrester.com/ER/Press/Release/0,1769,670,00.html
小売分野だけでなく、企業間取引においても期待が持てるデータがForrester Researchより発表されています。2001年第4四半期において、外注先からの購入額の多い大企業の45%が、コスト削減のためにネットを活用したと回答しています。第3四半期の調査結果では、対象企業の28%だけの活用率でしたが、翌四半期に急増したのです。
さらに、大企業の55%が今後の一年間でネットは重要な役割を果たすことになると回答し、多くの企業がネットを活用することにますます意欲を示しています。
e-マーケットプレース利用企業の割合も26%へと増加し、オンライン・オークションの利用企業も23%へと増加しています。
経済的に厳しい状況下では、コストを削減することが多くの企業にとって至上命令となり、ネットを利用する動きへと急速にシフトしているのです。このような動きを的確に捉え、少しでも売上増を目指そうという中小企業にとっては、ネットを活用することが新たな顧客の開拓になるのではないでしょうか。
3. 米国以外でも堅調
カナダの消費者向けのネット市場の調査を行ったIpsos-Reidによると、2001年のホリデーシーズンの支出額は78%アップし、11.6億カナダドルになりました。一回の平均購入額は324カナダドルとなっています。
またNetValueの調査によると、フランスにおいても、全ネットユーザー700万人の73.4%がオンラインショップを訪れ、42.4%のユーザーは最終的な注文を行うため、もしくは注文内容を確認するために、SSL(Secure Socket Layer)ページを訪れました。
■ むすび:
一般の目に触れるニュースでは、なかなかネットビジネスにおける好材料の報道はされませんが、今回ご紹介したデータからもわかるように、ネットビジネスの市場規模が縮小しているというわけではありません。
国内において経済的に厳しい状況は引き続いていますが、ユーザーに必要とされるネットビジネスの窓口を一つの販売チャネルと考え、きちんとしたレベルにしておくことが必要になっているのです。
米Shop.orgが調査を行った小売事業者においても、オンラインショップ・店舗・カタログの3つの販売チャネルすべてを利用しているというユーザーが全体の34%にもなり、一つのチャネルを利用するユーザーよりも定着率が高く、1回の購買額も高かったという結果が出ています。
可能な限り多彩な販売チャネルを用意し、購入額と訪問回数がいずれも多い優良顧客を育てていく方法をしっかりと検討したいものです。
■ 追記:
「米アマゾンが四半期ベースで初の黒字化」という記事が、ITProのサイトに掲載されています。大方の市場関係者の予想を大きく上回る結果であったと書かれています。うれしくなる記事ですね。
ITProの記事
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NNB/NEWS/20020122/1/
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