海外インターネットビジネス動向


News Volume 110 2007年2月19日

口コミ促進:インフルエンサーの影響力を生かす


皆さんの周りにも、他の人に影響力の強い人がいると思います。今まででしたら、その影響力は、友人や家族などの限定された世界の中だけのことでした。ところが、ブログやSNS(Social Network System)などの新たなオンラインツールを使って、情報発信がしやすくなったことで、影響力の強い人が及ぼす範囲が格段に広がってきたのです。このトレンドを見逃すことなく、自社のマーケティング活動に活用することが、インターネットビジネスを成功に導くポイントの一つになってきました。

今回のコラムでは、米DoubleClick社が発表した、以下のレポートの内容をご紹介しつつ、インフルエンサー(Influencer:影響力のある人)とマーケティング活動の関係について考えてみましょう。


■ Influencing the Influencers: How Online Advertising and Media Impact Word of Mouth



−インフルエンサーとは

本調査では、以下の5つの項目において、3つ以上該当する人を、インフルエンサーとして考えています。

  • 趣味等の何らかの分野のエキスパートである。
  • 商品購入時にアドバイスを求められる存在である。
  • 自分が好きな新商品を見つけた時に、人に推薦する。
  • 多くの人とのネットワークがあり、よく人を紹介する。
  • インターネットのアクティブなユーザーである。

これらの項目を参考に、具体的なインフルエンサー像を考えてみましょう。たとえば、最近はポケットサイズのデジタルカメラだけではなく、一眼レフのデジタルカメラも注目されています。一眼レフのデジタルカメラであれば、「シャッターの絞りやスピード」「ホワイトバランス」などさまざまな専門知識が必要になるでしょう。このような専門知識を多く持ち、最新の一眼レフのデジタルカメラについての商品情報に詳しい人が、インターネットで情報を公開すれば、検索エンジンから訪れるネットユーザーが増え、その人のウェブサイトが商品販売に与える影響が大きくなることでしょう。

このようなインフルエンサーが、どのように専門知識を増やし、最新の商品情報を入手しているのかを調査・分析することは、自社のネットビジネスの活性化に不可欠です。先のDoubleClick社の調査では、インフルエンサーと非インフルエンサーの違いについて興味深いデータを示しています。この調査結果を考慮しながら、インフルエンサーへの対応を考える参考にしてみましょう。



−インフルエンサーの情報源

インフルエンサーと非インフルエンサーでは、得ている情報源に違いがあります。インフルエンサーは、「ウェブサイト」「ウェブ広告」「検索エンジン」「口コミ」を情報源にすることが多く、非インフルエンサーよりも、それらの利用頻度が高くなっています。特に、ウェブ広告において、その違いが顕著でした。通常であれば、ウェブ広告に関心を示すネットユーザーは決して多くありません。実際、DoubleClick社の調査でも、ウェブ広告を情報源にしていると回答した非インフルエンサーはわずかに8%でした。一方、インフルエンサーでは、19%がウェブ広告に高いと回答しています。この広告に対する関心の高さが、インフルエンサーの特徴の一つです。



−インフルエンサーの利用時間

各種のメディアの利用時間に関する質問においても、インフルエンサーと非インフルエンサーに大きな違いがありました。たとえば、インターネットの利用時間についてです。インターネットを利用する時間が、一日のうち5時間以上であると回答した非インフルエンサーは23%でした。一方、インフルエンサーでは39%。強い影響力のある人は、インターネットを利用する時間が長くなる傾向があるのです。



−インフルエンサーの利用するオンラインメディア

インフルエンサーは、新たに登場しているオンラインメディアに高い関心があります。「オンラインビデオ」「ブログ」「SNS」などにおける利用率は、非インフルエンサーよりも明らかに高い数値を示しています。


これらのデータが示していたように、インターネットの世界では、インフルエンサーの影響がますます強くなっています。この影響を考慮し、自社のネットビジネスに生かすためには、自社が関わる商品や業界において、インフルエンサーの実態を把握する必要があるのです。



−インフルエンサーの実態を探る

この実態調査では、検索結果の分析が基本です。自社が扱う商品名等で検索を行ない、どのようなウェブサイトが検索結果に表示されるかを調査します。その中から、競合他社や業界団体のサイトを除き、ブログ等の個人が運営するサイトの中から、影響力の強そうなサイトを探します。そして、そのサイトの過去の更新内容を確認し、どのような情報源を参考にコラムを書いているかを調査します。頻繁に引用される情報源は、インフルエンサーに強い影響を与え、ひいては自社のビジネス活動にも影響するのです。この流れを一旦掴むことができれば、プレスリリースの発信方法など、工夫すべき点が見つかるはずです。

また、個人のインフルエンサーを特定するばかりではなく、多くのブログで扱われる関連語のトレンドを把握することも重要です。たとえば、Kizasi.jpというサイトは、ブログに書かれている言葉を関連性や時系列で分析しています。このサイトで、自社に関連する言葉で検索すると、どのような関連語が、どのタイミングで多くのブログに書かれているかを把握することができるのです。



■ 「口コミ促進:インフルエンサーの影響力を生かす」のむすび

インフルエンサーの影響力は、今後ネットの世界でますます強くなっていくことでしょう。自社もしくは扱う商品が、好意的に紹介されていれば良いのですが、批判的に紹介されていた場合、大きな損失になる可能性があります。

インフルエンサーを意識して、ブログ、SNS、口コミサイトなどを活用するCGM(Consumer Generated Media)戦略は、ネットビジネスに関わる関係者にとって必要不可欠な分野になってきました。1年前に、CGM対応を始めたからこそ、ブランド力が高まり、自社サイトへのブログや口コミサイト経由のアクセスが増加した。このことは、CGM戦略をきちんと立案し、実施した企業こそが実感できることです。競合他社に先を越されないためにも、今からインフルエンサーを念頭に置いた調査・分析を始めましょう。



AIMがお役に立ちます。(ブログ等を活用するCGM戦略は、アフィリエート・プログラム等を利用している企業が、パートナーサイトの活性化を図る上で重要です)

インターネット・マーケティングでは、詳細な調査に基づいて、今後の方針を決めることが必要です。自社だけでは、ネット販売戦略について十分な調査や分析ができないという方は、こちらから一度ご相談ください。





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