海外インターネットビジネス動向
News Volume 26 98年5月20日
オンラインブランド‐1
今回は、オンライン上でいかに「ブランド」の知名度を維持していくかについて考えてみたいと思います。
長年にわたりマーケティング費用をかけて築き上げた「ブランド名」。それを、オンライン上でも効果的に維持することで、既存のビジネスとインターネットビジネスの相乗効果を促進することが出来ます。
マーケティングの専門家によっては、インターネットでブランド戦略をいままでのように実施するのはむずかしいという意見があります。確かに、インターネットでは、企業の規模にかかわらず、新規のビジネススタイルを先行して確立した企業が優位であるため、マーケティングの費用を多くかけたから「ブランド名」を容易に浸透させることができるという訳ではありません。
しかし、前回紹介した「オンライン購買行動」の分析を、一歩踏み込んで検討することで、「オンラインブランド」のノウハウが見えてくるはずです。
Cyber Dialogue社の調査記事「Branding Matters」によると、82パーセントの消費者が最初に商品を探す場合に、具体的なブランド名を検索するのではなく、ディレクトリ型のサーチエンジンのカテゴリーを探すという調査結果が出ています。そうすると、逆に考えれば、そのカテゴリーを調べる消費者の行動を事前に把握し、対策を取ることで「オンラインブランド」の確立も可能ではないでしょうか。
(1)今回紹介する「オンラインブランド」の事例
Kellogg's Planet K TM:
http://www.kelloggs.com/
(アメリカの朝食には欠かすことのできないシリアルメーカーの「Kellogg(ケロッグ)Company Inc.」のホームページ)
今回は、このすでにブランド名が浸透しているメーカーが、どのようにオンラインでそのブランド戦略を実施しているかを検証してみようと思います。
先のCyber Dialogue社の調査記事にあるように、消費者の多くはサーチエンジンのカテゴリーをたどることで、関心がある商品を探し始めます。そのため、一番多く利用されているディレクトリの「Yahoo!」で、「Kellogg's」のサイトがどのカテゴリーに分類されているかを見てみましょう。
今回は具体的に「Kellogg's」をキーワードに検索し、「これら」のカテゴリーに登録されている「ケロッグ関連」のサイトを見つけました。
◆「Business and Economy: Companies: Food: Breakfast: Brand Names: Kellogg's 」
◆「Recreation: Games: Internet Games: Interactive Web Games: Coloring Books」
◆「Entertainment: Food and Eating: Recipes」
◆「Entertainment: Cool Links: Entertainment: Munchies」
◆「Regional: Countries: Canada: Business and Economy: Companies: Food: Breakfast: Kellogg Canada Inc.」
◆「Regional: Countries: United Kingdom: Business and Economy: Companies: Food: Breakfast」
多くの日本企業は、「ビジネスと経済:企業(Business and Economy: Companies)」のカテゴリーに登録するのみで、この「Kellogg's」の例のように「Recreation」「Entertainment」「Regional」までは登録していないのではないでしょうか?
「オンラインブランド」を浸透させるためには、このように「Yahoo!」対策を行い、多くの方の目に触れる工夫をしなければなりません。「Kellogg's」の場合には、多くのカテゴリーに登録されるために、以下のコンセプトの違うサイトを作っています。
1. 調理法の紹介
2. ゲーム
3. 製品紹介
4. 企業紹介
それぞれのサイトのいくつかは個別ドメイン名を取得し、独自の情報を提供しているため、「Yahoo!」でも個別ホームページとして扱われ、別のテーマのカテゴリーに登録されています。しかし、それらのサイトは「Kellogg's」という「ブランド名」を、ホームページタイトルに必ず含み一貫性をとっているため、「ブランド名」の定着に役だっています。そして、もちろん「Kellogg's」の独立したメインカテゴリーは、「朝食」のカテゴリーの階層に位置しています。
●「オンラインブランド」は、決してオフラインの既存のマーケティング戦略から独立したものでなく、
「朝食といえば、ケロッグ。ケロッグといえば、朝食。」
というイメージを、継続して消費者に認知されることを意識した登録をする必要があるのです。
しかしながら、「Yahoo! Japan」に登録している日本の「ケロッグ」は、「ビジネスと経済:企業:食品: 朝食」というカテゴリーがあるにもかかわらず、「ビジネスと経済:企業:食品: 穀物」というカテゴリーに登録されています。これでは、朝食と切っても切り離すことができない「ケロッグ」というブランドイメージの確立が不十分になってしまいます。
今回はすでにブランド名として知られている「ケロッグ」のサイトを事例に、「オンラインブランド」について考えてみました。インターネットでは、実際の企業規模の格差が少ないため、本腰でインターネットビジネスを考える企業ならば、中小企業といえども、製品毎のドメイン名を取得したり、コンセプトの違うサイトを数種類制作することで、インターネット上の「ブランド」を確立することは可能です。
新規顧客開拓よりも既存のユーザーの「ブランドロイヤリティー」確立が、利益増加への近道。これは、インターネットビジネスでも言えるはずです。ブランド戦略は、インターネットではむずかしい、と消極的なことを言うのではなく、他企業が実施していない「オンラインブランド」戦略を考えることで、貴社が先行企業になりましょう。
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