海外インターネットビジネス動向
News Volume 34 98年9月23日
女性の購買力で活性化
前回、他コーナー「ホームページ作成の基本とは」でご紹介した「ビジネスを変える7つのeRule」のなかでも言及した「普通の人々」が急速に増えてきているインターネットの動向について、今回のニュースレターでも事例を挙げて改めて考えてみたいと思います。
今回は特に、購買力の担い手である女性の動向について、アメリカの興味深い調査結果をもとに、オンライン販売を伸ばすために必要な要素について考えてみましょう。
(1)女性が変えるウェブの世界
アメリカの調査会社「NetSmart Research」によると、以下のように女性のインターネットとのかかわりあいが興味深いかたちで浮き彫りになってきました。ここでそのハイライトをご紹介しましょう。
1. アメリカの平均的な女性インターネットユーザーとは
●現在のインターネットユーザーに占める女性の割合:40%以上(2年前は25%)
●平均年齢:41歳
●年間平均家計収入:$63,000
●64パーセントは、フルタイムの仕事に従事している。
●56パーセントは、子供を持っている。
●一週間の平均オンラインアクセス時間:6時間
2. 期待していること
それでは、上記の平均的な女性ユーザーは、どのようなことをインターネットに期待しているのでしょうか。大別すると「便利さ」「情報源」「楽しさ」を求めているという調査結果がでています。
91パーセントの女性は、普段の生活をもっと「便利」にしたいと思っています。新製品や料理等に関する情報を簡単に手に入れたいと感じているのです。それらの「情報源」として、41パーセントの女性はインターネットがまず最初に訪れる場所だとこたえています。情報収集の目的としては、ファッション、コスメティック、スキンケア等が上位に挙げられ、自分達の「楽しさ」を満たすことに関心が高くなっています。
3. 興味ある統計のハイライト
●旅行関連:インターネットを使用可能な女性の82パーセントが、旅行のためのリサーチをインターネットで行い、そのうちの48パーセントがその情報に基づいて実際に予約をしています。
●コンピュータ関連:同様に69%がリサーチを行い、そのうちの48%が購入。
●車:50%がリサーチを行い、そのうちの29%が購入。
●家庭電化製品:28%がリサーチを行い、そのうちの40%が購入。
●女性ユーザーの57%が、インターネットを始めてからテレビを見る時間が減ったとこたえる一方、新聞を読む時間が減ったとこたえたのは21%、そして雑誌を読む時間が減ったというのはわずか19%でした。
●54%はオンラインショッピングの経験者で、そのうちの84%はクレジットカードを使用しています。
●77%がコンテンツが重要だとこたえる一方、それ以上の86%はサイトの簡単なナビゲーションが不可欠だとこたえています。
4. この調査結果が意味すること
インターネットユーザーに関する統計は、さまざまな調査機関から発表されていますが、このように女性に的を絞った調査は、「普通の人々」がインターネットを使用し始めた現在、将来予測をする統計として役に立ちます。
今回の調査結果も、インターネットがどのような目的で他の媒体と使い分けられているかを考える指針になり、効果的なサイト作りに反映することができます。
インターネットは、新聞、雑誌等の媒体で得た情報を、もっと掘り下げて調べたいときに役立つ情報ソースとしての役割が際立ってくると思います。日々急激に増え続けるホームページを、この目的で使用する「普通の人々」が増えれば、インターネット全体レベルでは、検索エンジンのシステム向上が不可欠になり、個別サイトレベルでは、容易なサイト内ナビゲーション機能の構築が必要になります。
詳細な情報収集を行うユーザーを対象とした付加価値を考える場合には、ホームページで紹介している商品・サービスに対して、さらに個別の質問にこたえる態勢もしくは機能も必要になるでしょう。この「顧客との関係強化」を、どのような形で実践していくかがインターネットビジネスの成否を左右します。
(2)今回紹介する事例
Nordstrom:
http://www.nordstrom-pta.com/
(Nordstrom:ノードストロームは、アメリカで全国展開する百貨店チェーンです。クオリティーの高い商品を揃えるデパートとして人気があります)
●こんな便利さも
ノードストロームのサイトでは、個別商品の紹介はしていません。ただ、アップデートの項に季節毎のファッションの傾向を簡単に紹介しているのみです。それでは、このサイトではどのようなサービスを提供しているのでしょうか?
このサイトでは、簡単に誰でもが利用することができる「e-mail shopping service」を提供しています。自分のスカートサイズ、靴のサイズなどを指定欄に記入し、あとはただ電子メールを友人に書くのと同じ感覚で、自分の好きなブランド名、色、素材、着るときのオケージョン等を好き勝手に書くだけで、スタッフが最適な商品を選び、メールで紹介をします。そのうえ、セール期間に顧客の好みそうな商品があれば、そのことを連絡するサービスもあります。もちろん、実際に購入し、手にしたおりに気に入らなければ、無条件で返品も可能になっています。
とかく商品の品揃えを増やすために、複雑なデータベースの構築を行わなければならないと、多額の投資に躊躇してしまう企業が多い中で、このようなサイトの使用方法もあるのかと新しい発見をしました。上記の調査結果にあるように、ユーザー自身も「便利さ」「ナビゲーションの簡易さ」に高い関心があるだけに、このようにサイト内で商品探しを行う必要がないサービスはうれしいものです。
●単なる店員ではないアドバイザー
このようなサービスを実現できる背景に、ノードストロームの店員のレベルの高さが挙げられます。多くのユーザーは、実際の店舗で、的確なアドバイスをする店員の対応に満足しています
このことを経験している顧客は、誰が対応するか分からないこのような形でのショッピングでも、安心して申し込みをすることができるのではないでしょうか。このすでに一般に浸透している企業としてのブランド名、信頼感をオンラインショッピングの簡易さと合わせることで、先に述べた「顧客との関係強化」を実現しています。
先をゆくアメリカのインターネット動向が、必ずしも日本の将来のインターネット像を表しているわけではありません。しかし、今回のように統計資料を選び、その結果を分析し発展させる力を養うことで、長期的なサイト構築やインターネットビジネスのための方針がみえてくる場合があります。ぜひ、各種インターネット関連調査結果から、他の人とは違う自分オリジナルの視点で数字を考える習慣を作ってみてください。
■ 無料レポート:法人オンラインショップの方からお申込多数 ■
「ネットビジネスの成功を保証するMBA的発想法」はこちら
メールマガジンの読者登録について
単行本化されベストセラーになり、まぐまぐの殿堂入りも果たしたメールマガジン。海外のインターネット・マーケティングのノウハウをこっそり伝授!なぜ今がチャンスなのか。アクセス向上&売上増の秘策満載。
「Pubzine」「めろんぱん」「Macky!」「melma!」からも配信中。登録はこちらをクリック!
「まぐまぐ」をご希望の方は以下に直接お書きください:かかさず読める メールでポン!